一般社団法人コンピュータソフトウェア協会

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「専務のツブヤキ」
~DX推進ガイドライン、金融API開放、二次補正予算、会員アンケート結果~

2018.12.15

CSAJ 専務理事 笹岡 賢二郎

 今年も早や2週間を残す余りとなりました。12月理事会も無事終了し、ホッとしているところです。

 理事会では経済産業省から「 DX(デジタルトランスフォーメーション)推進ガイドライン 」が丁度公表される日であったこともあり、和泉企画官にお越し頂き理事の皆様方にご説明頂けました。内容は極めてシンプルに2部構成で、前半は「DX推進のための経営のあり方、仕組み」(経営マネジメント)、後半は「DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築」(システム関係)となっていました。単なるITシステムの話だけでなく経営者の胸に響く内容にすべく工夫されている印象でした。

 前半ではまず《経営戦略・ビジョンの提示》が取り上げられ、例えば、経営者が明確なビジョンがないのにAIを使って何かやれみたいな部下に丸投げして考えさせるようなことは慎むべきとされています。この他、《DX推進のための体制整備》、《投資等の意思決定のあり方》、《DXにより実現すべきもの:スピーディーな変化への対応力》などが取り上げられていますが、各事業部門において新たな挑戦を積極的に行っていくマインドセットが醸成されるように① 仮説検証の繰返しプロセスが確立 できている、②仮説検証の繰り返しプロセスを スピーディーに実行 できる、③実行して目的を満たすかどうか 評価する仕組み となっていることなどが重要であるとされています。後半部分では、まず体制・仕組みとして、これまで付き合いのある ベンダー企業からの提案を鵜呑みにしない よう《全体的なITシステムの構築に向けたガバナンス》や《 事業部門のオーナーシップと要件定義能力 》などが指摘されています。また、実行プロセスでは、《IT資産の分析・評価》や負の資産であるレガシーシステムと決別することを勧めた《IT資産の仕訳とプランニング》などが必要とされていました。私的には、これって要はアジャイル開発そのものではないか、即ち、 DXの推進=アジャイル開発手法の導入 ではないかとも思った次第です。

 先日、CSAJが実施している「高度IT技術を活用したビジネス創造プログラム」のアジャイル開発の講座を聴講しました。一番印象に残ったのは具体的事例の話でした。某ユーザー企業がシステム刷新のため入札をしました。要求仕様では320の要求機能を掲げ、3年、3億円程度のものだったそうです。最終的に4社が入札に参加し、3社がウォーターフォール型で3年間で3億円程度の金額を提示したそうです。1社だけアジャイル開発で入札したのですが、 半年間で80の要求仕様を6千万円でコミット しますとの提案でした。当初、ユーザー企業側から我々の要求仕様書をちゃんと読んだのかと質問されたそうです。それに対してアジャイル開発チームは、320のうち優先順位をつけてまず80を選んでください。 これを4回やってくれれば320になるし、期間も2年、総額も2億4千万円で済みますよねと答え、その場で当該アジャイル開発チームへの落札が決まった そうです。その後も、そのチームは非常に優秀だったので、ユーザー企業の追加要求も次々と取り入れ、開発は順調に進んだとのことでした。結局、最初に要求仕様書にあった320機能の内、実装したのは60機能だったそうです。これを聞き、今後のDXの推進にはアジャイル開発手法は欠かせないものだと合点した次第です。

 昨年夏からCSAJが全銀協様と協議を進めてきた API接続に関して金融機関とFinTech事業者が結ぶ標準契約の雛型の初版が今月又は遅くとも年明けには公表 される見通しとなりました。少なくとも参照系のサービスについてはほぼ網羅できている内容です。更新系については、個別対応しないといけない部分もありますが、CSAJとしてFinTechの今後の推進に向けた大きな一歩と言えるでしょう。今後どうしても現行の銀行法との関係で金融機関とFinTech事業者のと責任分界点の問題など如何ともし難く金融機関側と妥協せざるを得なかった部分が残っていますが、今後とも粘り強く政策提言において銀行法の改正を訴え続けていくことが肝要かと思っています。

 もうすぐ、第2次補正予算の政府原案が閣議決定され、年明けに国会冒頭で成立すると思われます。先日の北海道胆振東部地震で重要インフラともいえるデータセンターの非常用電源の重要性が再認識されました。国土強靭化の観点で データセンターの非常用電源の設置・増設に対して何らかの支援措置が盛り込まれることを強く期待 している次第です。

 先日の12月理事会でも報告しましたが、会員アンケートの結果の速報が出ています。ちょっと驚いたのが、 業種・業態分類においてパッケージソフト開発・販売と受託開発・販売がこれまで以上に肉薄 してきたことです。また、会員の皆様から重要とされている委員会・研究会や交流については、政策委員会、人工知能技術研究会、セキュリティ委員会、働き方改革研究会及び関係省庁・団体との交流となりました。また、会員の皆様が来年度は今年以上にCSAJの活動に期待し、参加したいと思っておられることが分かりました。来年も皆様のご期待に応えられるよう事務局一同頑張ります。

 会員の皆様、どうか良いお年をお迎えください!

筆者略歴

笹岡 賢二郎(ささおか けんじろう)

1961年生まれ、1983年に通商産業省(現経済産業省)入省、機械情報産業局電気機器課、科学技術庁、資源エネルギー庁、立地公害局、防衛庁、工業技術院、基盤技術研究促進センター、JETROクアラルンプールセンター、文部科学省、四国経済産業局などの勤務を経て、2005年7月より新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、2007年7月より九州経済産業局地域経済部長、2009年7月より中小企業基盤整備機構の業務統括役兼総務部長、2011年7月独立行政法人情報処理推進機構の参与兼セキュリティセンター長などを経て、2013年7月から東京工科大学にてコンピュータサイエンス学部 コンピュータサイエンス学科教授、片柳研究所所長、工学部 電気電子工学科 教授兼コーオプセンター長。2016年6月に一般社団法人コンピュータソフトウェア協会専務理事に就任。