一般社団法人コンピュータソフトウェア協会

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「専務のツブヤキ」
~総会を終えて、デジタル思考と人材育成~

2018.06.15

CSAJ 専務理事 笹岡 賢二郎

 6月13日に無事総会を終え、 この原稿を書いている今が一年で一番ホッとしている瞬間 です。特に今年は定款の改訂があり、3分の2以上の出席者がいないと成立しません。会員数が近年急増していることは良いことですが、正直言って今の人員で十分にサービスが行き届いているのか(幽霊会員ばかりになっていないか)など心配しすぎて、総会成立に十分な出席者が確保できるか内心は気を揉んでいた次第です。ただそれは、お陰様で杞憂に終わりました。 CSAJ職員の皆さんの日頃からのご努力に心より感謝 する次第です。

 総会では、福田譲氏(SAPジャパン株式会社 代表取締役社長)の特別講演を行いました。その内容は一言でいえば、「 データでスポーツを科学する 」というものでした。

 印象に残ったお話で言えば、メッシのペナルティーキックの過去の例を全てデータ化すると、メッシが正面にいるキーパーを見ている時は、ボールは全てキーパーの左右に蹴られていることが分かりました。この傾向が分かれば、キーパーに次のように指示ができます。「メッシが自分を見たときは何も考えずに勘で左右どちらかに決めて防げ」と言っておけば、50%の確率で得点を防ぐことができます。もちろん、メッシのPK得点率は50%を遥かに上回りますので、この戦略で行けばチームが勝てる可能性は必ず上がります。このように、 データというものは使いようであり、如何様にでも使い道がある というのが彼の講演の肝だったように思います。

 ただ、データをどう使えばビジネスになるかという点で、もう一つの肝が「 デザイン思考 」でした。例えば、自動車を開発する場合、起点は「人」に着目し、「人はどんな時に乗り心地が良いと感じるか」に始まり、それから事業性(ビジネスの採算は合うか)及び技術(それを実現す技術力はあるか)となります。従来、日本では、「技術」と「事業性」のみの視点で新規事業の起点とする傾向にあるようですが、今後は 「人」に着目する視点(「デザイン思考」の肝はココ)が重要 とのことでした。

 これも「なるほど」と思ったのですが、CTスキャンは撮影中じっとしていないといけません。大人は我慢できますが、子供は動くので何度も撮り直しとなり、稼働率が非常に低くなるとのこと。この課題を劇的に解決した方法はまさに「人」の視点でした。撮影室を子供の遊び場のような風景に模様替えして、これは「隠れんぼ」の遊びであると思わせ、撮影中子供をじっとさせることができたとのことでした。 これは技術からの発想ではありません、むしろストーリーだ と思いました。改めて、第4次産業革命によるビジネスの創造にはそのような発想が不可欠なのだと思った次第です。

 丁度、CSAJではビッグデータ、AI、IoTをベースにデザイン思考を取り入れビジネスを創造できる人材を育成するための「 高度IT技術を活用したビジネス創造プログラム 」(全体で120時間)を開発したところです。 演習などのアクティブラーニングが全体の6割以上 になっており、実践的に学べるようにしています。本年度は、20名ずつ2回講座を実施しますが、 第1回目は6月23日 からです。他団体にもお声がけしているところですが、CSAJ会員企業からは想定定員以上の応募がありました。 厚生労働省から支援を頂いている事業ですので、なんと受講料は9万8千円(税抜)と破格の値段 となっています。デザイン思考で新規事業を創造できる人材の育成は、今年度から来年度にかけてCSAJの目玉となる事業と思っておりますので、着実に推進していきたいと思っている次第です。

  ご関心ある方は、今からでも応募してみては如何ですか。
   URLは以下の通りです。ご覧ください。

   http://www.csaj.jp/activity/project/souzou_pgm/H30_1_gaiyou.html

筆者略歴

笹岡 賢二郎(ささおか けんじろう)

1961年生まれ、1983年に通商産業省(現経済産業省)入省、機械情報産業局電気機器課、科学技術庁、資源エネルギー庁、立地公害局、防衛庁、工業技術院、基盤技術研究促進センター、JETROクアラルンプールセンター、文部科学省、四国経済産業局などの勤務を経て、2005年7月より新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、2007年7月より九州経済産業局地域経済部長、2009年7月より中小企業基盤整備機構の業務統括役兼総務部長、2011年7月独立行政法人情報処理推進機構の参与兼セキュリティセンター長などを経て、2013年7月から東京工科大学にてコンピュータサイエンス学部 コンピュータサイエンス学科教授、片柳研究所所長、工学部 電気電子工学科 教授兼コーオプセンター長。2016年6月に一般社団法人コンピュータソフトウェア協会専務理事に就任。