一般社団法人コンピュータソフトウェア協会

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「愛と繁栄を実現する経営改革」打倒! 会計事務所式コンサルティング

2018.02.01

CSAJ 監事 公認会計士・税理士・ITコーディネータ 山田隆明

 巷では、「会計事務所の言うことなんか聞いたら会社が潰される」と言われている。それをあらためて実感させられたのが昨年9月の税理士会の税理士向け研修会だったので、今回ご紹介する。同研修会では、業績の悪いDイタリア料理店(架空であろう)の事例を取り上げ、税理士たちに以下のごとき「業績改善アクションプラン」を作るよう指導していた。
①客層を把握して、メニューを客層に合うよう変更する。
 →これにより売上高1%増を目指す。
②料理ごとの原価を把握して、利益率を勘案した“今日のおすすめ料理”を設定する。
 →これにより原価率1%改善を目指す。

 <各アクションプランへの私の反論>

①「客層を把握してメニューを客層に合うよう変更する。」への反論
 私はこのアクションプランなるものを見た瞬間、唖然とした。
 こんなものはアクションプランじゃない。アクションプランとは本来解決策のはずなのに、これこそが「改善すべき経営課題」なのだ!目的と手段を混同している。
 この場合のアクションプランとは、具体的には、
A) “客層はだれか? (だれに売るか?) ”
B) “その客層に合うメニューは何か? (何を売るか?)”
C) “そのメニューをどうやって売るか? (どうやって売るか?)”
であり、
各々についてのコンサルタントの役割は、
A) “いかにして客層を把握するか?”を指導すること
B) “合うメニューをいかにして見つけるか? ”を指導すること
C) “セールストーク・キャッチフレーズ、販促手段など”の作り方の指導に加えて、それを実践に移す”日々の行動予定”についても指導することである。これら販売戦略があって、そのあとに数字が出てくるのだ。

 会計事務所の作る経営計画と称するものは、単に数字を作るだけにすぎない。「売上を何%増やしましょう、費用は何%減らしましょう」と言って予想B/S,P/Lを作文するだけだ。そこには販売戦略のハの字もない。だからこのような「アクションプランもどき」ですら、作文に付け加えておけば、“かっこいいコンサルティング内容”として研修会教材になり得るのだ。

②「料理ごとの原価を把握して、利益率を勘案した“今日のおすすめ料理”を設定する。」への反論
 これには唖然とするどころか腹が立った。「利益率を勘案した今日のおすすめ料理」と言えばなんとなく聞こえは良いが、なんてことはない「客にまずくて安いものを勧めよ」を言い換えているにすぎない。“美味しい料理”、“楽しい食事”という姿勢がごっそり抜け落ちている。

 今日、会計事務所が経営計画作りを支援すると“お上”から“ご褒美”をいただける。しかしこれは経営者にとっては迷惑この上ない。ご褒美目当てでこんなことを平気で勧める輩の頭には、自分の儲けのことしかない。だからクライアント(Dイタリア料理店など)に対する指導にも、「お客様にご満足いただく」という姿勢は全く見られない。あるべき姿「お客様に美味しい料理を、リーゾナブルな価格で、楽しく、召し上がっていただこう」の真逆をやらせている。こんな店に行く客はいない。
 これでは、「会計事務所の言うことなんか聞いたら会社が潰されますよ」と言われるのも当然である。こんな会計事務所からは何としても会社を守らなければならないとつくづく感じる毎日である。


(注)本コラムの内容は筆者個人の見解に基づいており、当協会の見解を示すものではありません。

筆者略歴

山田 隆明(やまだ たかあき)
山田隆明公認会計士事務所 所長
公認会計士・税理士・ITコーディネータ

山田 隆明Twitter

1959年 名古屋市生まれ。東海高校、慶応義塾大学経済学部卒業 。
株式会社インテック(基幹業務パッケージソフトの企画及び販売)、
監査法人(会計監査)を経て、
2003年 山田経営会計事務所開業、現在に至る。
---税務だけでなく、経営判断のための会計、人をヤル気にする会計を。
2009年9月から一般社団法人コンピュータソフトウェア協会監事。