一般社団法人コンピュータソフトウェア協会

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「愛と繁栄を実現する経営改革」企業目的と一気通貫な経営計画を!

2016.08.01

CSAJ 監事 公認会計士・税理士・ITコーディネータ 山田隆明

 「そもそも経営計画とは」について会社の目的に遡って考えてみましょう。
会社の目的は、お客様の要求に応え、お客様に満足を与え、さらにお客様を増やしていくことです。
だから会社は社会から受け入れられる存在になるのであり、その結果会社がお客様から収入を得られるので存続できるのです。この点についてはだれも異存の無いところでしょう。
お客様の満足を追求すると言うと当り前のように聞こえるでしょうが、個々の活動を見ると必ずしもそうなってはいません。
例えば、「ノルマが多くて困っているから買ってください」とお客様に泣きつく営業マンや、コスト削減のために「安い食材を使え」と言うレストランなど、実に多く見受けられます。
また、過去の高度成長やバブルの頃は良いモノを作りさえすれば顧客の方から買いに来てくれましたが、そんな時代はとっくに終わりました。今日では、顧客が来るのを待つ消極的な姿勢ではなく、積極的に顧客の要求にアピールしていかねばなりません。その点からも、より積極的に上記目的を追求していかねばならないといえます。
となると、会社のすべての活動は、この目的と一気通貫に繋がるものにすべきです。組織もこの目的の達成に向けたものにすべきです。
ここで、お客様の要求に応えるとは、お客様の要求するところを知ることから始め、自社の強み・他社の弱みを掴み、狙うマーケットを定め・獲得目標シェアを設定し、シェア獲得の方法である販売チャネル、宣伝広告、セールストーク等を決めて実践することです。
経営者はこれらを調べて決めて社員に指示することが最大の責務です。しかし実際行う段になると、決めたこと指示することの内容を「何らかにまとめる」ことが不可欠になります。きちんと社長自身の言葉で明文化し、数値目標まで入れ込み、そして「こうやってやれ」との具体的なやり方まで示すことです。でないと全員に伝わるものになりません。全員にきちんと伝わるからこそ上から下までが一体となって動き出すのです。この「何らかにまとめたもの」が経営計画なのです。
 こう言うと、なかには「一気通貫とは社長のワンマンだ、そんなのはダメだ。権限移譲すべきだ」と反論する人がいます。しかし一気通貫で一枚岩でなければ競合他社との熾烈な競争に勝てません。
SIerのA社の社長は、自らの方針も計画もまったく示しませんでした。それどころか「競争原理」と称してすべてを各部所長任せでした。この「権限移譲」は一見部所長が育ち効果的なように見えますが、実際やってみるとダメでした。部所長たちはお互い何をして良いか分からない、例えばどの商品を売るかすら分からず単に与えられたノルマ数字を追いかけるだけ、だからと言って「何もしていません」とは言えずやむなく都合の良いウソの報告を上げるだけ。そのうえ少ない売上を奪い合うので部所長たちはいつも仲が悪い、他部所の協力など得られるはずがないなど弊害が噴出しました。その結果、競合他社との熾烈な競争に勝てず、会社としてのノウハウも貯まらず、優秀な社員ほど見切りをつけて辞めていくなどまったくダメでした。
他の事例をあげれば、野球の強いチームは監督の指示どおりに動きますし、勝つ軍隊はどこも将軍のもとに統率が取れています。
このように、社長の経営方針さえ正しければ、目的に向けて一気通貫な一枚岩の会社が強い会社なのです。ここで言う正しい経営方針とは、会社の目的である「お客様の要求に応え、お客様に満足を与え、さらにお客様を増やしていくこと」をベースにしたものであることは上述のとおりです。
 にもかかわらず多くの会計事務所の指導はそうなっていません。経営計画を立てる際に経営方針の箇所を端折っていきなり売上・コストの数字から入ります。「来期はどの費用科目を○○%削減すべし、売上は○○%増やすべし」などと数字を埋めるだけで終わっています。このような経営計画を示されても、社員は何をやってよいか分からないでしよう。ただ前例どおりにルーティンワークをこなすだけ、これでは熾烈な競争に勝てる訳がありません。彼らは経営計画を、「経営のために作るもの」でなく、「銀行提出だけのもの」と認識しているのでしょうか。銀行提出目的だから提出したら二度と見ない、内容も覚えていない。これではせっかく作っても単なるムダです、経営計画は実行しなければ何の意味もありません。
また、会計事務所がよく利用する経営計画作成ソフトもダメです。「まず予想の売上金額を入れましょう、続いて予想の費用金額を入れましょう、入れたらコンピュータを回してみましょう。そしたらあら不思議、予想の利益が出てきました」という何ともバカげたものです。これなら小学校2年生の「筆算」で十分です。その予想売上金額に根拠が無いのは言うまでもありません。まったくあきれるばかりですが、同様のことは枚挙に暇がありません。
会計事務所は“制度”には明るくても”営業やマーケティング”のことは知りません。税理士は“税金”制度の専門家にすぎず、公認会計士は“制度会計”の専門家にすぎません。ほとんどが社会人経験もないままに受験勉強して資格取得しただけなので、あえて修行しない限りマーケティングや営業については素人です。にもかかわらず、あたかもマーケティングや営業についても専門家のフリをして指導するから会社がダメになるのです。「分かってもいないのに偉そうに指導するな!」と声を大にして言いたいです。
 最後に、会社目的との一気通貫に加えて、経営計画とは、
○あくまでも社長が自分で考えて自分で手書きで作るもの。
○作ったら、計画に込めた熱い想いを社長自らが社員に語ることです。
こうすれば、全社員が一枚岩になって同じ方向に進むので、立てた経営計画は必ず達成できます。

(注)本コラムの内容は筆者個人の見解に基づいており、当協会の見解を示すものではありません。

筆者略歴

山田 隆明(やまだ たかあき)
山田隆明公認会計士事務所 所長
公認会計士・税理士・ITコーディネータ

山田 隆明Twitter

1959年 名古屋市生まれ。東海高校、慶応義塾大学経済学部卒業 。
株式会社インテック(基幹業務パッケージソフトの企画及び販売)、
監査法人(会計監査)を経て、
2003年 山田経営会計事務所開業、現在に至る。
---税務だけでなく、経営判断のための会計、人をヤル気にする会計を。
2009年9月から一般社団法人コンピュータソフトウェア協会監事。